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ワクチン

ワクチン

<ワクチンとは>

ワクチンとは、感染症の予防のために投与する薬のことです。病気を発現しない程度に毒性を弱めた病原体を投与する生ワクチンと、無毒化した不活化ワクチンがあります。ワクチンをうつとその病気への免疫が作られ、病原体が体内に侵入しても発症を予防したり症状を軽度で済ませたりすることができます。

犬も猫も生まれた直後に初乳を飲むことで、お母さんから移行抗体というお母さんのもつ免疫を受け取ります。しかし、その免疫は徐々に失われ、生後8~12週頃には病気の予防ができない程度に低下するので、その時期に合わせてワクチンで免疫をつけてあげる必要があります。ワクチンは接種する時期も大切です。生まれた年は2-3回のワクチン接種が必要です。

各ワクチンのメリットデメリット

ワクチンは人と同じで体調が良い時に接種することが前提となります。体調がすぐれない時にワクチンを接種すると、体調が更に悪化したり、アレルギーや下痢、嘔吐等の副作用が出たり、十分な免疫がつけられない可能性もあります。ワクチン接種を受ける時はお家での体調(元気、食欲、おしっこ、うんちの状態その他)が良い事をしっかり確認して来院して下さい。当院では、ワクチン接種時の便検査は無料で受け付けています。

 

5種混合ワクチン <対象:犬>

ジステンパー、パルボ、アデノ(伝染性肝炎を起こす1型、伝染性喉頭気管炎を起こす2型)、パラインフルエンザ、の予防が可能です。

 

6種混合ワクチン <対象:犬>

5種混合ワクチンにコロナウィルス感染症を予防できます。コロナウィルスはパルボウィルスと混合感染すると致死率が上がります。

 

8種混合ワクチン <対象:犬>

6種混合ワクチンにくわえてレプトスピラ症

のワクチンが2種追加されています。アウトドアに行く事が多い、河川敷などを散歩させる、レプトスピラが発生している地域等では接種が勧められます。5種または6種混合ワクチンよりはアレルギーのリスクがわずかに上昇します。

 

3種混合ワクチン <対象:猫>

猫カリシウィルス、猫ヘルペスウィルス、猫パルボウィルスの感染を予防、又は症状を軽くすることができます。

デメリットは、猫ちゃんにはワクチン接種性線維肉腫という、猫特有の悪性腫瘍があります。その病気はワクチン接種後約3ヶ月から2年後位で接種部位にしこりが発生し、完全切除には非常に広範囲の切除が必要です。確率は1000頭から10000頭に1頭と言われています。しかしながら、ワクチンを打たない事による猫伝染性鼻気管炎にかかってしまうリスクの方が高いため当院ではワクチンは太腿に接種しています。

Q&A

ワクチンは毎年打たないとダメですか?

現在WSAVA(世界小動物獣医師会)の、グローバルなワクチン接種に関してのガイドラインでは、「コアワクチン」と呼ばれる特定のウィルスに対してのワクチンは、生まれた年と翌年に、適切な時期と適切な回数で接種して免疫がつけられれば、2歳以降の毎年の接種は必要が無いと言われています。

コアワクチンとは、犬ではジステンパー、パルボ、アデノウィルスです。猫ではカリシ、ヘルペス、パルボウィルスです。

犬のパラインフルエンザ、レプトスビラ、猫の白血病ウィルス、クラミジアに対しての「ノンコアワクチン」と呼ばれるワクチンについては、流行地域では毎年の接種が推奨されています。

同時に、ワクチンを接種しても免疫が十分にできない動物がいるのが事実なので、ワクチンを接種しなくても、毎年ワクチンで作られた免疫の程度を確認するために、抗体価(免疫に重要な働きをする抗体という蛋白質の量です)を測定することが推奨されています。

日本ではコアワクチン接種率が非常に低いこと、ノンコアワクチンのみのワクチン製剤がレプトスピラ症しかないこと、等の理由から、体調が良好なコには当院では毎年接種をお勧めしています。

 

・アレルギーが出たことがあるのでワクチン接種が心配なのですが

過去にワクチンアレルギーが出たことがある、などワクチン接種が心配な方は、ワクチンの種類を変更することをお勧めします。お薬を事前に飲ませてアレルギーが出ないようにする場合もあります。もしくは、ワクチンによる免疫が十分あるかを血液検査で調べてから、ワクチン接種の判断をしましょう。

いつでもお気軽にご相談ください。

狂犬病ワクチンについては、日本は法律で毎年接種を義務付けられています。過去に狂犬病ワクチンでアレルギー反応が出たコや病気の治療中のコは、獣医師が診察の上でワクチンを猶予する証明書を発行し、お住まいの市区町村に届け出る必要があります。

 

・シニアになってきたからワクチン接種が心配

シニアだからというだけでワクチン接種が危険な理由はありません。年齢が進むにつれ、体内の抗体価が病気を予防できない程度に下がっていることもあります。また、一見元気そうに見えているコでも、健康診断を行ったら残念ながら大病が発見された。というケースも人と同様によくあることです。もちろん、その場合はワクチン接種よりも病気の治療が優先されることがほとんどです。

年齢に応じた健康診断を行った上でワクチン接種をするか、抗体価測定をして病気に対する抵抗力を調べてから接種するなど、そのコの体調をしっかり確認しながら、ワクチン投与を検討しましょう。